私の苦手なもの
しばらく間が空きました。実は、演奏会の本番が2つ重なり、燃え尽きて、しばらく呆けていました。しかし、既に次の演奏会の練習が始まりました。気持ちを切り替えなければなりません。
今回の演奏会で、私の苦手を実感しました。前の記事でもスピッカート(跳弓)は難しいという話を書きました。感じ方は、人それぞれですが、跳ねさせるというよりも、弓の弾力を使って、弓が自発的に跳ねるのをコントロールするといった感じでしょうか。
弦楽器にはダウンボウ(下げ弓)とアップボウ(上げ弓)があって、特性がことなります。スピッカートで弾くときは、上手くコントロールしないと、ダウンボウとアップボウが均等に聞こえません。これには、飛ぶ方向が乱れないようにすることが大切なのですが、遅いスピッカートは滞空時間が長くなるのでコントロールが難しいのです。
で、さらに難題なのが、PやPPの遅いスタッカートです。
弓を飛ばしやすい位置は、弓の重心の位置とされています。手元の方が重いので、概ね手元から弓の長さの3分の1くらいの位置です。ですが、この位置だと跳びやすいですが、力がかかり過ぎるのでPPにはなりません。弓は、梃の原理で、弓本は力がかかりやすく、弓先は力がかかりにくいという特性がありますので、飛ばす位置を弓先へと持っていくのです。そのためには、弓を持つ手の薬指と小指で支えて重心をズラす必要があります。
そして重要なのが、引く位置です。要するに、駒よりなのか、指板よりなのかということ。一般に、fを弾くときは駒より、pを弾くときは指板よりということになりますが、あまり指板に近づけてしまうと、弓は上手く跳びません。
しかし、オーケストラで弾いている習性の悲しさで、ppのときは、恐怖心から、どうしても指板よりに逃げてしまうのですね。そうすると弓が跳ばないし、音が長くなってしまいます。で、さらに移弦(弾く弦が変わる)があると、飛び方のコントロールも難しくなります。
先日やったベートーヴェンの交響曲第3番英雄(エロイカ)の第3楽章のスケルツォは、まさにppで始まります。
しかし、これは弦楽器のユニゾンで始まるので、凄く怖い訳ではありません。
次回の演奏会へ向けたベートーヴェンの交響曲第9番の第2楽章のスケルツォは、何度もやっていますが、何回やっても怖いです。
これは、冒頭でfで主題を提示した後、ppのフガートが始まり、まずは2ndヴァイオリンが、次にヴィオラが主題を提示して、次がチェロの番です。これがppの遅いスピッカートということもあるし、チェロのA線の高音域で、鳴りやすい音から始まるのでなおさらです。
同じようなppのスタッカートは、先日やったブラームスの交響曲第3番3楽章の中間部でも出てきます。こちらは、ppのスピッカートで、かつ、最後の音符だけアクセントがついていて、コントロールが難しい。
この2曲をやって、周りから音がでかいだの、音が長いだの苦情を言われながら練習した結果、それなりに上達はしました。さらに精度を上げて第9の演奏会へ臨みたいと思っております。
スピッカート(spiccato)/ソティエ(Sautille)/跳弓(ちょうきゅう)の弾き方と練習方法 ★動画で解説・バイオリン教室★