FUMONIN Hikaru's Artistic Days

Web投稿などで活動するアマチュア作家・小説家で、オケなどで活動するアマチュアのチェリストです。

音楽教室 子どもたちに一番人気の楽器は?

 以前にも書きましたとおり、先週の金曜日に、地方公演へ行ってきました。

 児童・生徒向けの音楽教室と夕方の一向けコンサートのダブル公演。とても疲れますが、お客様には好評で、嬉しさもひとしおというもの。クラシック音楽の知識などなくても、音楽は楽しめるのです。子どもたちや普段オーケストラの音楽に接する機会のない方々に音楽をお届けできて、団員一同、満足しております。

 平日の公演ということで、参加する団員を募るのも一苦労でした。チェロは残念ながら2プルトの4人。特にヴェートーヴェンの「運命」は、低弦が活躍する曲なので、バランス的にいつもより頑張って弾かねばと覚悟していたところ、会場ホールの響きが良くてビックリ。最近に建てられた多目的ホールなのだそうですが、こういう音響の良いホールは弦楽器にとって弾きやすい。パート内の音を揃えるのも楽でした。

 昼に行った音楽教室。定番の楽器紹介で、短く曲を演奏します。これがいつもの悩みどころ。それぞれの楽器が趣向を凝らします。正統派のクラッシクの曲をやるか、子供たちにうけそうな曲をやるか? チェロは、悩んだ末、ハウルの動く城から「人生のメリーゴーランド」をやりました。

youtu.be

 たぶん、何の曲かは理解してもらえたようですが、反応はいまいち。一番うけたのは、トランペットがやった鬼滅の刃でした。やはり、現役のアニメには勝てないのかぁー。次回もあると思うので、どうするか考えます。

 そして、楽器として一番うけるのが、なんといってもコントラバス

 小学生の子どもたちは素直なので、「でッケー!」と驚きが言葉に出るのが面白い。小学生低学年の子たちからみると、身長の倍くらいの大きさです。確かに大きい。大人でも、身長の倍の大きさの楽器があったらと想像すると、気持ちもわかります。

コントラバス

 そして、よくクイズに出される問題。

コントラバスだけ、オーケストラの弦楽器の中で仲間外れです。どうしてかな?」

 子どもたちは、必死に考えます。

「弦を巻くところ(ペグ)がネジになってる」

「確かにそうなんだけど、惜しい」

コントラバスだけ、形が違う」

「大正解ーっ!」

 ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロは、ヴァイオリン属と呼ばれ、形は相似形をしています。コントラバスは、ヴィオール属の楽器で形が違います。

 一目でわかるのは、ヴァイオリン属は「いかり肩」なのに対し、コントラバスは「なで肩」なのです。

 そして、音楽教室の終了後。楽器を持って、子どもたちのお見送りをしていると、子どもたちは、コントラバスに群がってきます。チェロを含め、他の楽器は見向きもされません。大きいという意味では、チューバも大きいのですがなぜなのでしょう?

 基本的に、大きな楽器というものは、体格が良くないと、十分に音も出せません。そんなことで、チューバ奏者は、おおむねゴッツイおじさんが多い。

 コントラバスも同じく、体格が大きくないときついのですが、スマートなお兄さんや女性の奏者もいます。今回の公演では、女性のコントラバス奏者はいませんでしたが、優しそうなお兄さんたちだったので、近づきやすかったのでしょうか? 謎です。

 コントラバスには謎があって、アマオケでは、小柄な女性奏者が結構います。女には、大きなものにしがみつきたい本能的な欲求でもあるのでしょうか? 「のだめカンタービレ」でも、小柄な女性のコントラバス奏者が出てきますが、おそらく取材の成果なのではと思います。

 大きさの話をすると、ヨーロッパ発祥のものなので、楽器はヨーロピアンサイズです。一番言われるのが、ピアノ。私も、手はそれほど大きくないので、ピアノだと精一杯手を広げても9度(1オクターブと1音)しか届きません。が、ピアノ曲では、これを超える和音は珍しくもありません。手の小さな日本人は、これを分割してアルペジオで弾くしかないのです。日本人サイズのピアノも作られたりしたようですが、結局は普及していないですね。

 チェロは、ボーダーラインくらいのところの楽器です。オケの曲をやっていて、たまに出てくるのが、1オクターブの重音、又は1オクターブの跳躍です。

 低いポジションでの1オクターブの重音は、私の手で人差し指と小指を精一杯広げれば何とか届く程度。手の小さな人は無理なので、親指を指板上に出して、親指と薬指で押さえるしか方法はありません。技術的には、かなり面倒になりますが、不可能ではありません。

 1オクターブの跳躍も、隣の弦で弾く場合には同じこと。テンポがゆっくりであれば、1弦飛ばして隣の隣の弦を弾くこともできます。この選択が、悩みどころです。

 オケの曲ではありませんが、オクターブ跳躍の連続で思いつくのが、ヴェートーヴェンのチェロソナタ第2番第2楽章のラストの部分ですね。ヴェートーヴェン先生は、こういうねちっこい虐め行為が結構あるのです。

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 これを演奏しているメネセスさんは、軽々と弾いています。ビデオではよく見えませんが、少なくとも親指は使っていませんね。

 チェロのソロの曲ですと、私の手の大きさでは、演奏不能な曲もあります。ブリテン無伴奏チェロソナタの第3番では、同じ音を2弦で弾く箇所が出てくるのですが、私の手の大きさで低いポジションを弾くのは完全に不可能でした。3センチくらい足りません。そもそも、この曲は、名チェリストロストロポーヴィチと交友のあったブリテンが彼に献呈した曲なので、ロストロポーヴィチ基準で作ってあります。彼はロシア(旧ソ連)人で体格が日本人とは桁違い。私が弾けないのも、無理はないのでした。